第9号   戻る
 

平成20年度卒業式 
式  辞

 正門の桜のつぼみも日毎にふくらみを増し、春の息吹が感じられる今日の佳き日

広島市議会議員 豊島岩白様、

浮田(うきだ)PTA会長様、

庚午中学校長 益本修二様

をはじめ、多数のご来賓の皆様と保護者の皆様のご臨席のもとに本校第三十七回の卒業式を挙行できますことを心から感謝し、卒業生とともに厚くお礼を申しあげます。

 広島市立庚午小学校第三七回の卒業生として、本校を巣立っていく144名の皆さん、卒業おめでとう。心からお祝いいたします。

   ただ今、皆さん一人一人に卒業証書を授与しながら、私は一人ひとりのこれからの幸せを祈りました。その卒業証書には、皆さんの庚午小学校での六年間の成長が込められており、六年間立派に小学校生活をやり終えた証です。小学校時代のあふれんばかりの思い出とともに大切にしてほしいと思います。

  卒業という節目に当り、2つのことをお話しします。

一つ目は、「タンポポのように植えられたところで咲きなさい」ということです。

 事務室前の掲示板に、「ねがい」という詩を掲示していました。

たんぽぽの根のように強くなろう

  たんぽぽの花のように美しくなろう

たんぽぽの種のように軽くなろう

    たんぽぽの花言葉のように

幸せをまきちらそう

これは、たんぽぽ詩人・坂村真民さんが作った詩です。先生が、この詩と出会い、自分もみんなも大切にしたい思いがありました。

 それは、

「どんな時も、自分の中に(つちか)われた庚午小学校のことを忘れないでほしいということ、そして、これからの人生の中でタンポポのように、植えられたところで咲きなさい」という言葉です。

 タンポポは大地から豊かな樹液を吸い取り、太陽の日差しを一杯に浴びて、それを単純な、しかも美しい形に変えて生きています。日々の太陽の動きに合わせて、自分の毎日を悔いなく過ごしています。

 タンポポの種は風に乗って振り返りもせず、さよならも言わず去っていきます。タンポポは子孫のために、来るべき春にさらに多くのタンポポが黄色い花を咲かせ、太陽に向かって微笑み、人々に喜びを与えます。

 タンポポの一生に命はあるものの永遠性と希望とが満ちあふれています。

 今日の卒業式は、庚午小学校の生活の中でしっかりと実を結んだ皆さんが、この学校から春風に乗って飛び立っていく姿に重なります。飛び立っていく場所、それはみな違っています。風に乗ったタンポポの種が、それぞれどこにどのように着地するか分からないように、これからの人生の中で皆さんひとり一人が、どこでどのように生きることになるか、それぞれわかりません。必ずしも自分の望んだ場所ではないかも知れません。でも、タンポポは、着地した場所の環境が厳しければ厳しいほど、しっかりと、深くたくましい根をおろし、美しい花を咲かせるといいます。

 皆さんもこれまでの生活の中で、自分の中にたくさんの知性と感性を育んできました。そして、たんぽぽが飛び立つように、みなさんひとり一人がこれから未来に向かって飛び立っていこうとしています。

その時に思い出してほしい言葉、それが最初に申し上げた「植えられたところで咲きなさい」という言葉なのです。

 二つ目は、夢や目標を追い続け、大きな花をさかせてほしいということです。

 昨年の北京オリンピックで、ソフトボール日本チームで金メダルを獲得した、上野由岐子投手は、つぎのように話しています。

あきらめなければ絶対に夢はかなう。がんばって続けていたからこそ、中学生のころからの夢だった「五輪で金メダル」という夢もかなった。どんなにつらくても、遠回りしても「こうなりたい」と思い続けて、そのための努力をおしまなければ、どんなことでもたどりつける。

また、昨年は四人の日本人がノーベル賞を受賞しました。その一人の、下村教授は、「困難にぶつかってもあきらめず、最後までやり遂げることが大事だ。」と言っておられます。

みなさんも、夢や目標の実現に向けてがんばってください。夢の方程式「夢+努力=現実」です。

さて、今日は在校生を代表して、五年生の皆さんが式に参加しています、夢と希望を胸に、広い世界へ羽ばたいていく卒業生の姿が胸に刻まれたことでしょう。六年生とは今日でお別れです。学校が急に寂しくなりますが、五年生、これからは皆さんが最上級生です。卒業生を見習い、学校の柱となって活躍してください。

 ご列席の保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。教職員を代表し、お子様のご卒業を心からお祝い申しあげます。

初めて校門をくぐった日が昨日のことのように思い起こせるのではないでしょうか。そして、お子様の小学校時代の思い出の一つ一つを振り返るにつけて、感慨(かんがい)もひとしおのものがおありのことと思います。また、今日までの長きにわたり、庚午小学校に対して終始変わらぬご理解とご協力をいただきましたことに厚くお礼申しあげます。

それでは卒業証書を渡すとき、かけた言葉をくりかえします。

おめでとう 卒業おめでとう

さようなら  元気でね

がんばるんだよ 中学校でがんばるんだよ

卒業生のみなさんの前途が洋々たらんことを祈って、はなむけの言葉とします。

平成21年3月19日

   

広島市立庚午小学校長 山 ア 幸 徳


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